きみは金色
市ノ瀬は驚いた顔をしたあと、瞳をまるい形からやさしい弧にゆるめて、笑った。
おれに向かって手を振ってくれる姿に、勝手に顔がほころんでしまう。
…うーわ、可愛い。
控えめに手をひっこめると、またゆっくりと校門に向かって歩き始める市ノ瀬。
その後ろ姿を見送りながら、声を聞ける質問にすればよかった、なんて思った。
バイバイ、じゃなくて。もっと他の。
どんなこと言えばいいか、全然思いつかねーけど。
自然と、ため息が漏れる。
今週に入って、何回目のため息だろう。
「……なんだよ」
おれが振り返ると、教室に残っているヤツら全員が、ニヤニヤ顔でこっちを見ていた。
感傷に浸る間もないってやつだ。
しかも希美にかぎっては、なぜかおれのことを不機嫌そうに睨みつけていた。