きみは金色
「その…お付き合いとか…よくわかんなくて。緊張しちゃうから、話せなかったり、うまくいかないけど…でも、もっと知りたい、とか、頑張ってみたいなって、思う」
「………っ、」
「飯田くん」
「はい……」
「…そういう気持ちじゃ、お付き合いの権利は……もらえませんか?」
しゃがんで、小さくなって、おれのそばにいる市ノ瀬。
いつもは長いスカートで隠れている膝小僧が、少しだけのぞいている。
低い位置で、目が合う。
市ノ瀬は頑張って、そらさないように、おれの目を見てくれていて。
『お付き合いの権利はもらえませんか?』
…なぁ、そんなの。
そんなの、さぁ。
「〜ひゃっ!?」
止まらなかった。
飛びつくように、市ノ瀬を抱きしめてしまっていた。
予想していなかったのか、市ノ瀬が後ろにバランスを崩して、引っくり返る。