きみは金色



本格的に、冬がやってきた。



秋が混じった冬と、冬だけの冬。その見分け方ってさ。


おれだけかもしんねーけど。チャリに乗ったとき、手ぶくろなしでもいけるかどうかでわかる気がするんだ。


ほんとに寒いと、風が冷たすぎてジンジンして。


感覚がなくなって、もう無理!!ってなる。


手がちぎれる感じがする。



でもジンジン痛むのは、手の先だけじゃなかったりして。



その痛みを、刺すような寒さでごまかして、おれたちは今日も笑ってるんだ。



笑って過ごすんだ。残り少ない日々を。きっと。









「…センセー方はぬくくていいっすね」

「あ?」



踏み入った職員室は、十分に暖房が効いていた。


ズビッと鼻をすすりながら、うらめしそうに目を細めて言う。



おれの目線の先にいるイワコウの服装は、セーターなしのYシャツ1枚。


制服の中に重ねに重ねて着込んでいるおれたち生徒とは、えらい違いだ。



ぬくい職員室とは反対に、教室には暖房器具が1つもない。


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