きみは金色
プリンになった頭を何度か染め直して、いつの間にか迎えた、高校2年の秋。
髪が金に変わるより、もっとすごい変化があるなんて。
このときのおれはまだ、なにも知らない。
*
「マッジめんどくさいよなぁ~、合唱コンクール!!」
放課後の教室。
けだるい声にふりかえると、今にも寝てしまいそうな顔が、すぐそこにあった。
中西裕也。同じクラスで、いつもつるんでいるうちの1人だ。
短めの茶髪を、ツンと立てた髪型。
いつ見ても、寝起きみたいなタレ目。
そんなやる気のない顔に加えて、広い肩幅。デカい図体。
そのせいか、友人間でつけられた裕也のあだ名は『冬眠グマ』だったりする。
クマとライオンでいいコンビ。
なんて言われたりもするけど、その時のおれたちの反応はそろって、「げっ」と苦い顔だ。