久しぶりだね初対面
「…またトイレか…」

洋式便器に腰掛けたまま、俺は頭を抱える。

どこともしれない、トイレの個室。

最初にあのデパートのトイレの個室で目覚めたあの時と同じ状況。

だが、全く同じというわけじゃなさそうだ。

「…暑いな」

じっとりと汗ばむ肌に触れ、俺は制服のブレザーを脱ぎ、シャツの袖をまくった。

春とは思えない気温だ。

じっとしているだけでも額に汗が滲んでくる。

いや、春だったのは『俺の時代』での話だ。

この場所…もしかしたらこの時代…は、春ではなく夏なのかもしれない。

…俺は今度はいつ、どこにやって来てしまったんだ…?

また時間移動してしまったのだろうと、確信だけは持てた。

最初の時のように激しく動揺したりはしない。

人間ってのは順応性のある生き物だ。

例え理解しがたい不思議な事態でも、二度目となるとある程度は慣れるものなんだな…。

訳のわからないことに感心しつつ、とにかくこの個室の暑さには我慢できなかった。

まずここがいつ、どこなのか確認する必要がある。

俺は外に出てみる事にした。


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