久しぶりだね初対面
俺は近くの公園のベンチで、伊藤と話をする事にした。

「ほい」

缶コーヒーを買ってきて、伊藤に渡す。

「あ…ありがとう…」

おずおずと受け取る伊藤。

「あの…その制服」

「ん?」

伊藤は俺の着ている制服を指差した。

「近くの県立高校の制服ですよね。あそこの生徒さんなんですか?」

「ん…まぁ、そんなとこ」

この時代の生徒じゃないけどな。

「そうなんですか」

伊藤はコーヒーを一口飲み、それきり押し黙った。

…気まずい沈黙が流れる。

「あの」

再び伊藤が話し始めた。

「さっき、私の事、双葉って呼びましたよね?」

「あ、ああ、あれは…」

俺はしどろもどろになる。

「俺の知り合いに、お前によく似てる奴がいてさ、そいつの名字が双葉っていうんだ」

半分本当で半分嘘だが、咄嗟の受け答えとしては上出来だったと思う。

「そうなんですか…実は」

伊藤は俺の顔を見た。

「私の母方の名字も、双葉なんです」



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