久しぶりだね初対面
ひとしきり泣いて落ち着いたのか、双葉は俺から離れる。

「ごめんなさい、泣いたりして…」

涙で濡れた目を拭おうと、双葉は自分の制服のポケットからハンカチを出そうとして。

「あ」

その拍子に、ポケットから何かが落ちた。

…それを見て、俺はやっぱり彼女が双葉だと確信する。

ポケットから落ちたのは、あのキーホルダーだった。

「…これ…私のお守りなんです」

双葉はいとおしげにキーホルダーを拾い上げる。

「母が話してくれたんですけど、私が幼かった頃、デパートで迷子になっちゃって…泣いていた所を助けてくれた人が、私にこのキーホルダーをくれたそうなんです。
何の変哲もない、安物のキーホルダーだけど、私にとってはお守りです。
私が将来の夢を持つきっかけにもなった、大切なお守り…」

「そうだよな。タイムマシン作らなきゃだもんな」

そう口にして。

「え?」

双葉の驚いた顔で、俺はハッとした。



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