久しぶりだね初対面
しばらくは双葉も俺を追いかけて走っていたものの、やはり男と女では体力に差もある。

双葉は息切れして立ち止まり、俺はその隙に彼女を撒いた。

「…はぁ…はぁ…はぁ…」

見つからないように建物の陰に隠れ、呼吸を整える。

少し双葉には可哀相な事をしたかもしれないが、変に本当の事を話して混乱させるよりはいいだろう。

でも、俺の「タイムマシンを作らなきゃ」という言葉で驚いたという事は、あの縁日の夜に出会った女の子も、やっぱり幼い頃の双葉だったんだな…。

だからこそ、この時代の双葉も、さっきの俺の言葉で驚いたんだろう。

…俺はここに来てようやく、時間移動の意味に気づき始めていた。



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