久しぶりだね初対面
「もしもし…?」

少し緊張した声で言ってみる。

「もしもし?」

返ってきたのは若い女の声だった。

恐らくは十代の女の子だろう。

「それ、どこにありました?」

「え?」

「その携帯電話、どこにありました?」

女の子は不安げな声で言う。

「ああ、駅前に落ちてたよ。駅前の、植え込みの中」

「ええっ!?そんなとこに!?いつ落としたんだろ、私ったら…」

ほとほと自分に呆れる…といった口調で、女の子は溜息をついた。

「あの、ご迷惑でしょうけど、そこにいてくれますか?」

女の子はほんとに申し訳ないんだけど、と付け加える。


< 63 / 88 >

この作品をシェア

pagetop