久しぶりだね初対面
キスを終えた後も、俺と双葉はしばらく話し続けた。

だけど、もう夜も更けてきた。

年頃の女の子をいつまでもこんな所に引き止めておくわけにもいかない。

「送っていくよ、双葉」

俺は彼女と一緒に、帰り道を並んで歩いた。

「あ、そうだ久我君。携帯の番号、教えてよ。できればメアドも」

双葉が自分の携帯を取り出す。

…でも、それはまずい。

俺の時代の俺は、双葉に番号を教えていないはずだ。

ここで教えてしまったら、歴史が変わっちゃったりするんじゃないだろうか。

「駄目だ」

俺は双葉の要求を断る。

「え、何で…?」

悲しげな顔をする双葉。

そんな顔を見せられると辛いんだが…。

「お前、中三なんだろ?高校受験控えてるんじゃねえか。俺に電話やメールする暇があったら、しっかり勉強しろよ。俺と話すのは、俺と同じ高校に来てからでも、遅くはないだろ?」

もっともらしい理由を付けて、双葉を説得する。

「………」

双葉はしばらく考えていたが。

「ん…そうだね。あと一年の辛抱だもんね。わかった。きかないでおくよ」

何とか納得してくれたらしい。



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