記憶のカケラ。〜君を思って前に進もう〜
「え?あ!別にいいんだよー。

そんなの!ほら!いっぱいメニュー

あるよー!ね?何にする?」

ほら。紬らしい返答。

でも本人がいいって言ってるから大丈夫

ということにしとこう。

ばれたって警察にいかなきゃいけない

とかいう悪い事じゃないし。

紬のせっかくのオフだもん。

楽しまさせてあげるのが私の役目。

「あ、ほんとだ。どれもオシャレで

おいしそうだね。」

「でしょでしょ⁈

私はねー?この苺生クリームスペシャ

ルクレープ食べたかったの!」

その笑顔からは、よっぽど食べたかった

んだなーって思えた。ホント、純粋で素

直で可愛いやつだよ。

「ね、ね!今宵は何にするの?」

そうやって無邪気に笑って話す紬は

まるで前の私のようで胸が痛くなった

叶汰の目に私の笑顔はどう写っていたん

だろう。こんな風にキラキラしてたのか

な。私はせつなくなった胸を紬に隠すよ

うにして紬と同じクレープを注文して

食べた。甘くてふわふわしてたクレープ

はおいしかったはずなのにその甘さにな

んだか胸が締め付けられた。
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