ライギョ
竹脇の主な収入源は株。


所謂、デイトレーダー。


が、竹脇本人に言わすと


「ただの金持ってるヲタクだよ。」


あの出来事以来、学校を休みがちだった竹脇は不登校になりその内、外にも出歩かなくなって引きこもり状態が長らく続いたそうだ。


だからといって親に反抗するとか家庭内で暴れると言う事もなくただ日々が過ぎて行く中


暇つぶしに父親のパソコンを使うようになり、所謂、ヲタク、と呼ばれる人種になったのだと言う。


「この娘(こ)に金がかかるんだ。」


そう言ってリビングの一番良い場所にある鍵付きのショーケースを指差す。


その中には女の子にウサギのコスチュームを着せたフィギアらしきものが入っていた。


俺がそのウサギフィギアに見入っていると、興味があると思ったのか竹脇が自慢のコレクションルームを紹介すると言いだした。が、それは直ぐに断った。


「まぁ、価値の分からない者に見せても意味ないな。」


さほど残念そうでもなくそう言うと、竹脇は冷蔵庫からイチゴミルクのブリックパックを2つ取り出し一つを俺に渡した。


「うちにはこれしかない。」


「ああ、悪いな。」


甘いものが少し苦手な俺は断るのも何だか悪い気がして差し出されたイチゴミルクを手に取るとストローを差し込んだ。












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