スキと言えるまで。





「むふふー、それだけじゃないんだよ。
颯がね病院から出られるの。」





俺は何とも言えない複雑な気分になった。
お前が喜んでるから素直に喜んでやるべきなんだろうけど、どうしても過去が払拭できない。





それは俺だけじゃないようだ。





「颯が病院から出たら殴り込みに行かなくちゃいけないから、また武道始めよっかな。」





「随分物騒な言葉が出てきたな。」





「武藤先生から聞いたんですけど、お父様とお兄様、お母様に文句言いに行くみたいです。
程々にしてくださいねって言ってはあるんですが…。」





ズキン。
周りの耳を気にして武藤先生と他人行儀な呼び方をする琉那。
どんな呼び方であっても、愛しそうな顔で名前を呼ぶその表情は、いつ見ても苦しい。






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