スキと言えるまで。





「知ってるなら、切るよ。
もう私、飛行機乗らないといけないんだから。」





「…ったく偉そうに。
俺の前から、勝手にいなくなろうとしてんじゃねぇよ。」





油断した。
すごく近くから声が聞こえると思ったら、いつの間にか背後にいたなんて。





「なにそのどこぞの俺様発言、本当キモイ。」





「もうこの際、俺様でもなんでも言ってやるよ。
…お前が俺のそばから離れないためなら。」





一瞬、樹が知らない顔をした。
幼馴染の樹じゃなくて、知らない男の人の顔に。





不覚にも、ううん。
樹が発した言葉だから、こんなに胸に響いてくるんだ。
胸が疼く、隠そうとしても湧き上がる想い。






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