代償 2nd mean
東さんが帰って。
慶佑は一人で紅茶飲んで。
外を眺めて。
何が見えるだろう。
「………慶佑」
「………何?」
「………外、行かない?」
「………」
やっぱり困った顔で。
「………何が、怖い?」
「………さぁ」
「でも、何で外を眺めているの?」
「………何で、だろうな」
辛そうな笑顔して。
何で、そんな顔するのよ。
「………外に、行きたいが、何をすればいいか」
外で空気吸うだけなのに。
記憶がないと、何か感じるのかな。
ある人から見れば、───何だろう。
この世界の99パーセントは記憶があるから。
慶佑は、喪失。
………どんな景色が見えるのかな。

「………行きたくなったら、言ってね」
「………うん」
慶佑だって───。




慶佑は、この時。
何かを感じていたらしい。
私には、何も分かっていなかった。
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