代償 2nd mean
「文香ちゃんはどれ食べる?」
「えと………」
うーん。
………これかな。
「イチゴのムースがいいな」
「だと思ったよ~」
凜音さんが笑った。
「慶佑さんはティラミスね」
「………」
スプーンとティラミスを差し出す。
「………ああ」
ありがとう。
一言言い、ティラミスを受け取った。
………そんな、乗り気じゃないなぁ。



───慣れない、この空気。
今までと全く違う。
昔の上時───慶佑を探してしまう。
同じ人なのに。
全く違う人。

記憶が戻って欲しいと思う。
でも、どうやって?
何かに引っかけないと、記憶って戻らないの?
戻し方なんて、知らないよ。
───。


ピンポーン。
家の中に響く音。
………何?
まだ訪問者来るの?
「誰だろうねーぇ?」
キャーラの呑気な声。

───誰!?
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