代償 2nd mean
「………俺がこの族に来て、何人いなくなったか分かるか?」
「………」
「18人だ。20年で」
1年に1人いなくなったような勢い。
「疫病神か、死神みたいじゃないか、俺が。前橋組を頂点に君臨させ続けた代償だ」


前橋組ったって、神様じゃない。
ガラの悪い、そこらの暴走族と同じ暴徒だ。
怨み辛みを買って売るのは当たり前だ。
神に代償なんてものはない。
神じゃない俺らは代償が延々とつくんだ。
犠牲者を、代償を払い続けた結果だ。
今の前橋組は。

………さっき、警察から聞いた。
木屋と凛音を撃ったのは他の暴走族の奴等だ。
前橋組に因縁つけてるアホだ。
奴等の狙いは俺なのに、何で木屋と凛音を撃ったのか、動機も何も見えない。

もう俺はここらを統治できない。
総長を続けられないんだ。
どれだけ恨まれているか、よく分かった。
奴等は俺が座を降りるのを待ってる。
降りてきたとこを叩き潰す気だろう。
それが怖くて逃げる訳じゃない。
これ以上、死人を出したくない。
葬式を出したくないんだ。
───頼む、分かれ。


上時は、真剣だった。
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