桃の花を溺れるほどに愛してる
 ――死のう。

 不意に、頭の中にそれが過ぎった。

 愛する桃花さんに嫌われてしまった以上、もう僕にはこの世で生きていく必要がない。理由がない。道理がない。ない。なにもかも。

 僕には桃花さんだけがすべてで、桃花さんが笑ってくれるだけで幸せな気分に満ち溢れる。

 それなのに、その桃花さんの笑顔を奪ったのは僕。まぎれもない、僕なんだ。僕があの日、勢い余って告白なんてするから……。

 あの日、告白なんてしなければよかった。

 ただの“危ないところを助けた通行人”になって、ずっと陰から桃花さんが幸せである様子を見守っていくべきだったんだ。

 すべて、僕のせい。

 ごめんなさい。桃花さんを幸せに出来なくてごめんなさい。僕みたいなヤツが、桃花さんの前に現れてごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい。うまれてきてごめんなさい。桃花さんを好きになってしまって、ごめん、なさい。桃花さんを愛してしまって、ごめん……なさ……い……。



 ――それでも、桃花さんを好きでいることを、愛していることをやめれないでいる僕は、最低ですか?



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