桃の花を溺れるほどに愛してる
「春人」

「はっ、はい……」


 名前を呼ぶと、春人は大袈裟なほどに身体をビクリと震わせる。

 春人の目から溢れる涙をハンカチで拭いながら、にこりと微笑んでみせた。


「アンタは……ずっと、ずっと、私を守っていてくれたんだね」

「……っ!」

「そうとは知らない私は、今までアンタに酷い言葉を投げ掛けてきた。ごめんなさい。春人は私のことを知っているのに、私は春人のことを初対面だと思っていて……つらかったよね」

「そんなっ……こと……!」


 また私をフォローするつもりなのか、春人はぶんぶんと大きく首を横に振り、私の言葉を否定する。


「否定しないで。本当のことなんだから。……だから、ごめんなさい」

「桃花、さん……」

「わがままなのは分かっているんだけどね、私……記憶が戻った今でも、その……春人のことが、だっ、大好き、だよっ。だから……」


 大好き、なんて言うのが恥ずかしくなって、申し訳なくも思っちゃったりして、途中からどんどん声量が小さくなっていく。

 うう……こんな時だからこそ、かっこよくスマートに言いたいのに……私のバカ!意気地無し!
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