桃の花を溺れるほどに愛してる

「えっ?!どんな内容?」

「えーっと、『あなただけを愛しています』とか、『ずっと見守っています』とか……そういう文章が、画面いっぱい」


 あまりにも異質なものだったので、わざわざメールの内容を確認しなくても覚えてしまっているために、その内容が言える。


「絶対に視線のヤツじゃん!」

「だよねー」


 その異質なメールは迷惑ボックスの中にいれたのだけれど、消去するつもりはない。

 まぁ、無いとは思うけれど、もしも私になんらかの被害が出てしまった時、警察に届けるための証拠品になるからだ。

 今のところは直接被害に遭うようなことは無いけれど、いずれ家に押しかけてきたりするんじゃないかと思うと……怖い。ゾッとする。


「警察は?」

「まだ。今、言いに行っても、証拠不十分とかで取り扱ってくれないだろうし」

「あー。まぁ、確かにそう言われたらそうかもねぇ」


 しみじみと納得している様子の京子。私は精神的に疲れていたために、思わずため息を吐いた。

 直接的に被害がおよばなければいいけど……。
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