【完】適者生存
「あの・・・、この神社のお方ですか?」


「え?


ええ、そうですが。


ご参拝のお客様ですか?」


「ええ、まあそうなんですけど・・・。


実は、娘が何処かに行ってしまったんです。」


「娘さんが・・・?」


「ええ。


・・・あ、もしかしたら神社のほうにもう行ってしまったのかしら・・・。」


「あ、いえ。


恐らく神社のほうにはまだ行ってないかと・・・。」


私がそういえる根拠は1つ。


私は神社のほうから参道へ向かってきたけど、道中誰ともすれ違わなかったから。


「もしよろしければ、娘さん。

お探ししましょうか?」


「え・・・?

いいんですか?」


「ええ、大丈夫です。」


「ありがとうございます・・・っ。


娘は桜と言って、年は6つです。


着物を着ています。」


「・・・桜ちゃんですね?


わかりました。


少々お待ちください。」


私は小走りで鎮守の森へ向かった。


なぜならこの神社に隠れられるような場所は限られている。


宿舎の影は神社と併設されているので隠れていないことがわかる。


そう考えると、私は鎮守の森しか浮かばなかった。


まだ残っている落ち葉が踏むたびにガサガサと音を立てる。


私は直感である場所へ向かっていた。


”ある事件”が起きたあの場所へ・・・
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