【完】適者生存
再び私は神社の広場に目を移す。


・・・あれ?


舞が中断されている。


周りも少しざわつき始めた。


「夏神村の村人よ。」


遙香ではない、聞きなれた声が聞こえる。


しかしその声は遙香から聞こえている。


「貴様、誰じゃ!」


一人の老婆が前に出る。


・・・・・・!


アパートにいた老婆・・!


容姿も瓜二つ。


呪いをかけられたとするならば今か・・・?


「・・・夏目の巫女よ!」


そういって広場の裏手から沙捺が出てきた。


まだ少し幼さが残る、昔の沙捺。


「夏目の巫女、何が目的じゃ!」


「・・・ふふ、あなたならわかるでしょう?


潮来(いたこ)さん?」


「・・やはり、そうなのか。


この村を・・・滅ぼすのが目的か!」


「・・・ええ!


そうよ?」


「なぜ・・・滅ぼすのじゃ!」


潮来と呼ばれた老婆を見下ろすように立っている沙捺からは普段感じられないような黒いオーラのようなものが滲み出ている。


「・・・呪いの連鎖を止めるため。


夏目のためにあなた方は犠牲になるのよ?」


「・・・下らん!


なぜ呪いのために我らが犠牲にならなければならないのじゃ!」


「・・・もういいわ!」


沙捺は着ていた着物の袖から呪人形を取出し、村人たちへ見せた。


「そなた等!


見るでない!」


「・・・はあ?


何言ってるんだ?


潮来さんよ。」


最初は余裕を見せる村人たちも徐々に苦しみ始めた。


しかし、潮来は物ともしない。


「・・・やはり、盲目にはこの人形は効果はないわね。


私自身の手で殺めてあげましょう。


―――この村は、2年後に滅び、7年後に再生する!


そして・・・生き残るのは夏目の巫女、ただ二人よ!」


あの潮来・・・、盲目なんだ。


道理で人形を見せられても見えないから呪いにかからないのね。


「・・・貴様がそのつもりなら、此方とて本気を出させてもらうぞ。」


老婆が言うと、老婆の周りに白と黒が混ざったような色が現れ始めた。
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