Doll‥ ~愛を知るとき


「ここが俺らの家や。」

浩也に案内された場所は、海岸沿いにある五階建てマンションの二階。

建物の角部屋で、横には非常階段があった。


全く見覚えが無い場所。

なのに、玄関を入ると靴箱の飾り棚に、あたしと愛翔の写真が写真立てに入って飾られていた。

「これ、あたし‥。」

「そうや。今より、ちょっと髪が短いやろ。」


樹と過ごした半年間、あたしが美容室に行ったのは一度だけ。

樹は長い髪がすきだから、長さを変えず軽めにカットしてもらった。

その一度きり。


彼は、あたしが他人と接触するのを嫌った。

商店のオバサンのように話せる人は限られていたし、無駄話しない約束もあった。


 
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