Doll‥ ~愛を知るとき


「話が‥、あって‥。」

瞳が潤んで来た。

「うん、なに?」


最後に想いを伝えてケジメをつけたいなんて、自分勝手な言い訳でしかない。


「あたし‥。」

声を詰まらせるあたしを見つめて、樹は

「入る?」

って、訊いた。


きっと待っていた。

そう言ってくれることを‥。

あたしは小さく頷いて、樹が開けてくれた扉を潜った。

そして、彼に促されるままミュールを脱ぎ、部屋に入った。


 
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