Doll‥ ~愛を知るとき
翌日、人気の無い待合室で浩也に名付けのことを話した。
例え『先生』と呼ばれる人でも、他人が付けた名前を呼びたくないって、あたしは言った。
「お義母さんには申し訳ないけど、あたしは“愛翔”がいいの。」
他のことは、何でも我慢する。
だから、赤ちゃんの名前だけは決めさせて欲しい。
そう懇願するあたしを見つめて
「分かった。じゃ、愛翔で出生届け出そ。」
浩也は答えると、赤ちゃんを見て帰って行った。
もっと、こじれるのかと思っていた。
拍子抜けした気分と安堵の混ざった複雑な気持ちで、あたしは部屋に戻った。
そこに落とし穴があったことなんて、その時は気付きもしなかった。