Doll‥ ~愛を知るとき
五月になり、日に日に暑くなった。
相変わらず、義母は意地悪だし浩也は口うるさい。
動きが活発になった愛翔は、転んだり、テーブルの角で頭を打つことが増えた。
愛翔が怪我をしたり、タンコブを作ると“母親失格”だと罵られる。
風邪をひかせてしまっても、同じ。
咎められることで、必然的に神経質になってしまうから、あたしは毎日ピリピリしていた。
「泣かないで!あーくんが泣くとママが怒られるの!走っちゃダメって言ったのに、走るからでしょ!」
一日に何度も愛翔を叱っている。
夜、無邪気な寝顔を見て、叱り過ぎたことを後悔している。
可愛いのに、プレッシャーが邪魔してココロから愛せない。
そのジレンマは、常に あたしを苦しめていた。