Doll‥ ~愛を知るとき
事情を知った樹は、あたしに会うことを考えた。
だけど、店には行けない。
偶然にも二人で話しているところを店の誰かに見られれば、困ることになる。
公園の十字路の道を通ることは、今まで避けていたって言った。
想いを引きずったまま出会うことは、したくなかったって‥。
山岡さんの話を聞いた時、産婦人科の新生児室で泣いていたあたしを思い出し
「あの時は、涙の理由を深くは考えなかったな。オレをフったから、それでかな‥?くらいでさ。けど、そうじゃ無かったのかもしれないって、そう思った。」
翌日の夕方、樹は公園の前をバイクで走った。
ケータイを忘れたなんて口実でしかない。
引き返して来た彼は、あたしを見掛けた。
「愛波だって分かった時、嬉しかったな‥。」
話し終わると、樹は、あたしを見つめた。