Doll‥ ~愛を知るとき
傷痕の原因を、あたしは覚えていない。
それだけじゃない。
色んなことが思い出せない。
気付けば、白い部屋にいた。
この町の病院に‥。
樹が助けてくれた。
そう、看護師から聞いた。
─ オレのこと、分かる? ─
─ 分かんない‥ ─
─ オレは、愛波の知り合い。だから、一緒に帰ろ‥ ─
あたしには身寄りが無いから、一緒に住むんだって、彼は そう言った。
疑ったりしなかった。
樹の瞳が綺麗だったから、素直に納得していた。
退院後、樹は、このアパートにあたしを連れて帰った。