Doll‥ ~愛を知るとき


傷痕の原因を、あたしは覚えていない。

それだけじゃない。

色んなことが思い出せない。


気付けば、白い部屋にいた。

この町の病院に‥。


樹が助けてくれた。

そう、看護師から聞いた。


─ オレのこと、分かる? ─


─ 分かんない‥ ─


─ オレは、愛波の知り合い。だから、一緒に帰ろ‥ ─


あたしには身寄りが無いから、一緒に住むんだって、彼は そう言った。

疑ったりしなかった。

樹の瞳が綺麗だったから、素直に納得していた。


退院後、樹は、このアパートにあたしを連れて帰った。


< 51 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop