Doll‥ ~愛を知るとき
小さくても気晴らしは必要。
まだ三ヶ月の赤ちゃんを長時間連れ歩くのは心配だけど、愛翔も あたしの大切な子だから‥。
「あーくん、着いたよ。」
「うわっ!あれなに?」
車の窓から見える羊達に、愛翔は釘付けになった。
「羊さんだよ。」
「しゅごい!いっぱい!」
駐車場に停めた車を降り、あたしはトランクから折り畳んだベビーカーを取り出した。
「あーくん、危ないから動かないでね。」
活発な愛翔に言葉を掛けながら、後部座席のチャイルドシートで眠る娘をベビーカーに乗せる。
「愛翔、行こう。」
「うん!」
マザーズバッグを肩に提げベビーカーを押しながら、あたしは愛翔と一緒に牧場の入り口に向かった。