手に入れたいのはお前だけ。
「大丈夫。少しずつ、わからせてあげるから」
「え――……」
ふわっとあたしのチョコレート色の髪をさらう、深高くんの指があまりにも優しくて、大事な物を扱ってくれるみたいだから。
あたしの思考はもう、完全に停止した。
え、ちょっ、ちょっと待って!
大丈夫って、言われても!!
「覚悟しといてね、千澄」
名前を呼ばれてドキッとした。
あたし、どうなっちゃうの?
恋愛初心者なあたし、浅田 千澄(あさだ ちずみ)にはわかんないよ……。