手に入れたいのはお前だけ。




その姿を捉えたあたしの胸がズキリと痛むのは、昨日のことがあるから。



昨日あたしは、茂木くんが学園でも噂のあった女の子と、キスしてるのを見たから。



勝手に傷ついて、どうしたらいいかわからなくなったあたしを助けてくれたのが。



「由、ちょっと来いよ!」



茂木くんと仲のいい、深高由くんだ。



「……あぁ、うん」



気怠そうにヘッドホンを首にかけて茂木くんを見る、無造作な黒髪に綺麗な顔立ちの、メガネをかけた男の子。



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