お兄ちゃんができました。
私の言葉にますます心配そうに眉を下げる志月くん。

ホラ見てみろ。余計に心配させちまったじゃないか。

どうすんだよ? え?

なんて自分に問いかけたところで、答えなんて返ってくるはずもなく。




「……」

「……」




私たちは、さながら愛し合った恋人同士のように互いに視線をそらさず見つめ合う。

心配そうな視線を向けられる私の背中には、先ほどから嫌な汗がだらだらと流れてホントヤバい。

助けて。誰か助けて。

この際、お母さんでも死んだパパでも、何ならさだこでもいいからとにかくこの現状をどうにかしてええぇぇぇ。

心の中で悲鳴をあげていると、不意にバンッと扉に何かが当たるものすごい音がした。

突然聞こえたそれにびくりと肩が跳ね、志月くんも驚いたように背後をふりかえる。

な、何事!?

まさかマジでさだこが来たんじゃないだろうな。やめてよもう!

確かに助けてとか言ったけど……私、幽霊嫌いなんだよ!

ホラー嫌い! 敵!!

恐怖で顔が強張り、不安で息もままならない。

そんな私に、志月くんはふわりと笑うと私の頭にポンっと優しく手を置いた。




「大丈夫。大丈夫だよ。……ちょっと、見てくるね」

「え!?」



み、見ちゃうの!?

若干声が低くなった志月くんはドアの近くまで歩み寄ると躊躇いなくドアを開ける。

ドアが開くと同時に私は目を閉じた。




「……え、」




















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