夢蝶 ~なによりも大切なもの~
「よ!柑奈!久しぶりだな!」
あの頃と何も変わらない笑顔の伊月兄。
『…ゔ……いづぎ…にぃーーーー!』
「…うぉ!あー、もー泣くなー。」
伊月兄だ。あの頃と同じ。
大好きな、伊月兄だ。
また会えたんだ。
『う、うぇーー。伊月兄ーー。ごめ、
ごめんねぇーーー。』
「おーおー、分かったから。とりあえず泣き止めよ。話はそれからだ。な?」
なだめるようなその口調に
私の涙はさらに溢れ出す。
『うぇーーーーー。』