年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 あれから由也くんはうちに寄ることが増えた。それは挙式や新婚旅行の打ち合わせもあるけど、多分、私を気遣ってのことだろう。


「社会人になってからは忙しくて星も見てなかったから嬉しいです」
「でもさ、1週間もうちを空けて大丈夫?」
「大学時代はよく山にこもりましたから。大丈夫だと思います」
「それならいいけど」
「これからはゴールデンウイーク、年末年始ぐらいは“山篭り”することにして綾香さんと過ごします」
「ありがと。嬉しい」


 社会人になって目まぐるしい生活をしていた由也くんも入社3年で余裕が出来た。だから自分の将来や私のことを考える時間が増えたのだろう。ライバル会社の私とは結婚出来ないことも、両親を捨てることなど出来ないことも、いずれはステータスとして結婚もしなくちゃいけないことも。こうして私にちょくちょく会いに来れるのも僅かの期間。何処ぞやの令嬢と結婚したらそうそうはアパートに寄れない。だから今のうちだと。

< 200 / 600 >

この作品をシェア

pagetop