年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

 そう考えるころには涙は別の意味の涙になる。授かったこの命、産んだらどうなるのだろうか。


「……」


 由也くんに相談したら産んでもいいって言うだろう。認知もする、養育費も払うって。それでいいんだろうか。急に押し寄せる不安、一人で育てられるだろうか。自分一人だっていつ転ぶか分からない。産めばせめて成人するまでは責任を持たなくてはいけない。

 父親のいない家庭が全て不幸じゃないだろうけど、分かってて産むことが絶対に正しいだろうか。時々アパートに来て週末も時々いて、子供の目には中途半端に映りはしないか。お父さんだけどお父さんって呼んじゃいけないよって。余所のお父さんなんだよって。
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