年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 ってことは彩乃はひょっとして……。


「もしかしてあんた、本気でご主人を」
「先輩♪ 話はこれくらいにして。あ、これ、お世話になったお礼ですう」


 彩乃は私の質問をはぐらかした。鞄から包みを出し、私に差し出した。中身は可愛い文房具だった。私好みの鉛筆やら消しゴムやらいっぱい入っていた。私も彩乃に買ってきたキッチン小物の包みを渡す。それを開けた彩乃は、男は胃袋で掴めってことですか、先輩らしいですね、と言って笑った。


「料理しか取り柄が無い、女の魅力が無いって言いたいんでしょ、ムカつく」
「分かりましたあ?」


 出来上がったランチを奥さんが運んできた。彩乃はそれを笑顔で受け取る。辛くないんだろうか、好きな人の奥さんを目の前にして。


「ねえ彩ちゃん」
「何ですか」
「何故そんなに強気でいられるの?」


 私なら耐えられない、由也くんの隣に女の子がいただけで爆発しそうになるのに。


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