年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 私はソファに座って窓からの夜景を眺めていた。


「……」


 とうとう来た。由也くんが他のコと結婚する。令嬢でも何でもない普通のコ。親の勧めでもなく圧力でもなく由也くん自身が選んだコ。若くて素直で芯があって、申し分のない女の子。
 神様って不公平だ。私が何をしたって言うんだろう、ただスーパーの裏口から突き飛ばされていた男の子を好きになっただけなのに。誰から奪った訳でも無い。彩乃みたいに借りてる訳でも無い。そんなことをブツブツと考えていた。飲んで気持ちを和らげようと思ってローテーブルに酒を置いたけど進まない。口を付ける気にもなれなかった。
 彩乃はどうしているだろう。独身時代からの不倫を引きずり、W不倫に突入した。結婚すると告げたときに、不倫相手であるカフェのご主人に捨てられる不安は無かったんだろうか。それ以前に好きになった男性に他のパートナーがいることに虚しさは無かったんだろうか。


「ま、彩乃のことだから奥さんなんて関係無いですう~、とか言いそうだな」


 彩乃は借りるだけで離婚は迫らないと言うけど、奥さんだって若くて綺麗で谷間チラチラの女の子にご主人を取られる不安は無かったんだろうか。

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