年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

「あんたこそ、不倫から足を洗いなさいよ」
「はい、洗いますう~」
「……」


 彩乃は軽く流して返事をして、私は呆れて何も言えなかった。

 食事を終え、彩乃を最寄り駅まで送る。


「先輩、今度泊まりに行きたいですう」
「やだ。絶対駄目」
「冗談ですう。でも“泊まりに行く”ことにはしてください♪」
「何それ」
「彼と旅行に行くんですう」
「アリバイ? ちょっとあんた……」
「あ、アリバイ工作に付き合ってくれないなら、会社の皆さんにパトロンのことバラしますよ♪」
「ええっ」
「メールって便利ですよね、一斉送信って」
「わわわ分かったから!」


 彩乃はまたランチしましょうね、と笑いながら改札に消えて行った。会社を辞めても面倒臭い後輩はいつまでも面倒臭そうだとため息をつきながらマンションに帰った。








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