年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
営業部に戻り朝会に出る。外回りに行く。頭の中は鎌谷のことだらけだった。由也くんに御曹司とカミングアウトされ別れると決意したとき、記憶を無くすまで飲みに付き合ってくれた。酔って吐いた私を介抱してくれた。失恋した私を鎌谷家ディナーに誘ってくれた。そのあとヨリを戻してしばらく怒ってたけど最終的には応援してくれた。そして。
『俺がその子の父親に……』
「……」
由也くんの子を身篭ったと告げたあのファミレスで鎌谷はああ言った。あのときは腐れ縁の同期が惨めな女に同情したのかと思っていた。ああなんて可哀相な女なんだと哀れんでくれた、と。あれがもし、私のことが好きで私と赤ちゃんのことを放っておけなかったとしたらどれだけの覚悟で……。
「いやいや。カマがそこまで私を……まさかでしょ」