年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)

「えっ、あの鉄塔を見に行ったときじゃないの?」
「勢いでキスしたみたいに言わないでください」
「勢いじゃなかったの?」
「勢いじゃないです」
「じゃあもしかしてわざと鉄塔に……?」


 毎週ランチをして週末も毎週のように約束してるのに私は全く気付かなかった。だから由也くんは橋の上から鉄塔を見ると結婚出来るというスポットを見付けて私を誘った。時間は夕暮れ、寂しい時間。冬の頃だから寒いのも好都合だった。寄り添い手を繋ぐ、私を見下ろす、顔を近づける。そしたら超ウルトラ級に鈍い私も気付くだろう、と。


「あのときの綾香さんの顔は忘れられません」
「ど、どんな」
「目をまあるくしたあと、ぽーっとして目を潤ませて。可愛かったです」
「むー。年上の甲斐性のカケラも無いね」
「そうですね」


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