年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 私は鎌谷の母親に付き添われて病院を後にした。ロータリーでタクシーを拾い鎌谷家に行く。既に鎌谷の妹の部屋に布団が敷かれていた。鎌谷の妹は今夜は宿直で帰宅しないらしい。母親に、あの子のだけど、と差し出されたパジャマに着替える。ただただ申し訳無くて有り難くて私は母親に頭を下げた。夕方になり鎌谷が帰宅した。


「営業部長から3日、有休もぎ取って来たぞ。感謝しろよ」


 部屋に入ってきた鎌谷はぶっきらぼうにそう言って会社から持ってきた私の荷物を差し出した。私は布団から起き上がり、鞄を受け取る。


「ありがと」
「ん」


 鎌谷は目を逸らして答える。ずっとお互いを避けてきて、お互いにどう振る舞えばいいのか分からない。6畳の部屋、鎌谷の鼻息まで聞こえてきそうだ。息が詰まる。しばらく互いに無言でいた。
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