年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
翌日私は東京に戻った。雪の中を走っていた電車は徐々に都会の景色に変わっていく。いつもの路線に乗り換える頃には夕刻になり、スーパーで買い物を終える頃には暗くなっていた。マンションのエントランスに入りエレベーターに乗る。一人の部屋、また夢を見るかもしれないと思うと帰宅するのを躊躇した。帰らない訳にはいかない。カードキーで開錠すると部屋には明かりがついていた。
「あ……由也くん?」
「お帰りなさい。綾香さんどうしたの?、その格好」
小さいボストンバッグを抱えて分厚いコートにウールの帽子、どう見ても会社帰りじゃない格好。
「あ……うん」
「何処に……」
何だか由也くんは怒ってるみたいだった。