年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
「一緒に見たものを聞いたものを感じたものを考えたものを、それをこれからの人生に役立てていく。自分の人生の中にそれを組み込でいく。長谷川さんの人生の中に藤池クンは活かされて生きていくことになる。つまりは藤池クンが長谷川さんの一部になる」
「はあ……」
「無論、別れなさいとは言ってはいない。別れたあとも愛の証になりうる、ということですな」
オーナーは、ちとおしゃべりが過ぎたかな、と恥ずかしげに笑いながらスライドを片付け始めた。私はコーヒーを飲み干してからオーナーに礼を言い、カップを流し台のある方へ返却して部屋に戻った。窓をみれば外は曇天、分厚い雪雲に阻まれて星はおろか月すらも見えなかった。