年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 ソファに掛けていた由也くんは立ち上がり、私の元に来る。私のボストンバッグと買い物袋を持ち、それを床に下ろすとコートを脱がせてくれた。


「あ、その、営業で遠出して」
「その格好で?」


 コートの下は当然私服。


「昨夜だって帰って来てなかったでしょ?」
「あ……うん。泊まりで出張」
「一昨日もいなかったでしょ? 綾香さんの好きな苺大福を冷蔵庫に入れといたのに手をつけてなかったから」
「一昨日は……ぼ、忘年会があって飲み過ぎちゃって……ど、同僚の部屋に泊めてもらって」


 私は咄嗟に嘘をついた。ヤキモチ妬いて不眠症になって倒れたなんて言えない。ましてや鎌谷の家に泊めてもらったなんて知ったら由也くんは怒る。
< 509 / 600 >

この作品をシェア

pagetop