年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 でも歯切れの悪い返事に由也くんは、ふうっと息を吐いた。


「綾香さん、嘘ついてるでしょ」
「……」


 真っすぐに私を見る由也くんを私は真っすぐ見られなかった。悪いことはしてない。でも後ろめたかった。



「……ごめん」
「もしかして鎌谷さんのところ?」
「……うん」
「飲んだの?」
「ううん。ちょっと体調崩したら鎌谷のお母さんが心配して迎えに来てくれて」
「体調?」
「あ、でも大丈夫。ご覧の通り復活。怒った……?」


 由也くんは首を横に振る。由也くんは苺大福食べますか?、と言ってカウンターの向こうにある冷蔵庫に行き、中から箱を取り出した。ソファの前にあるテーブルに置く。それから慣れない手つきでお茶を入れ始めた。由也くんは無言で何か考えている。
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