年下彼氏はライバル会社の副社長!(原題 来ない夜明けを待ちわびて)
 あれから3週間、毎日そんな日々を過ごした。出勤して画像の由也くんに挨拶し、朝会前に鎌谷の俺様コーヒーを飲み、会議に出て企画部と新商品の打ち合わせをし、コンビニ本社を回る。帰社して預かったクレームを顧客相談室に伝え、再び外出してコンビニ巡りをする。コンビニ向けにヨーグルトやプリンもあったけど、一番気になるのはオレンジミルクティだった。新商品はこれだけじゃないのに商品チェックと題して毎日買って飲んでしまう。ただ由也くんと同じものを飲んでいたかった。

 コンビニ本社に行くとスマイル乳業の社員と鉢合わせることも間々あった。でも由也くんはいない。由也くんはどちらかというとスーパーや百貨店の方を担当していたからいる筈も無かった。会いたいような会いたくないような、会ったら会ったで辛くなるのに期待する。でも毎日その期待は裏切られ落胆して会社に帰る。

 その日、帰り道にふと空を見上げた。綺麗な夕焼けの空。否が応でも思い出す、あの風景。もう時間も押してるし、直帰にして橋のところに行こうと思った。見に行ったところで何がある訳じゃない。ただ思い出に浸りたかった。

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