続・溺愛協奏曲  蓮と莉子の甘々な日々
「あ・・・わかっちゃった感じ?」



あたしがおどけた様に言うと慎ちゃんは柔らかい笑みを浮かべる




「莉子のお母さんがいつもしていたネックレスだよね?」



「そう・・・よくわかったね慎ちゃん」




「だって、莉子のお母さん一度俺に話してくれたことがあってさ・・・綺麗な十字架のネックレスだねって言ったら、自分はクリスチャンでもなんでもないけどこれを付けてると神様に守られてるような気がするからあたしの大事なお守りみたいなものなのって言ってたの今でも覚えてるよ」



慎ちゃんがあたしのネックレスを見つめながら話している



今日のキャンプの準備をしていたら引き出しの奥から申し訳なさそうに出てきたネックレス



お母さん、無くしたって言ってたのに・・・・今頃出て来るなんて・・・



なんだか無性に懐かしくて普段はアクセサリーなんて全く付けないあたしだけどなんとなく付けてきてしまった




「へえ・・・・本当だ、綺麗な十字架のネックレスだな・・・それを付けていれば莉子のおふくろさん一目見ただけで自分の娘だって解るかもな」



蓮がニッコリ微笑みながらあたしに言葉を放つ



慎ちゃんも黙って頷きながら蓮の言葉に納得しているようだ



慎ちゃんは何も言わないけれど我が家の事情をよくわかってくれている・・・



お母さんが出て行ったことも今はどんな状態なのかも慎ちゃんはたぶん全部知っている




知っていながらあえてあたしには話さない



あたしから話すまで、あたしが頼るまで何もしないで見守っている



そんな慎ちゃんの心遣いがありがたくてネックレスをぎゅっと握りしめた





< 161 / 341 >

この作品をシェア

pagetop