青空キャンパス

俺は教室を1人掃除していた。

この広い学校を1人で掃除する清掃員の

方に少しでも貢献できたらいいと思い…

と言いつつ頭は凛のことでいっぱいだ。

このまま話せないでいいのか?

いいわけないよな…

俺は何のためにここまで…

好きだからだ。

でもこのまま好きでいて思いが届くことはあるのか?

どうなんだ…

自問自答を続けていると、

「夏目。教室掃除とかばか?」

どこからともなく汚い

言葉が飛んできた。

「いきなりっ…!!」

振り向くと、そこにいたのは…

「凛…」

「久しぶりだね。てゆうかあんた変わんないよね。すぐ分かった。」

クスクス笑いながらそんな事をいう凛。

「あぁ…凛は変わったな。色々…」

入学式の事を思い出し、少し皮肉交じりにそう言った。

「うん…ごめん。」

「なにが?」

「その…勝手に転校して行ったこと、本当に後悔して…る…から…。」

本当に申し訳なさそうに俯いている。

「あの時は少し傷付いたけど、いまはもう分かってるよ。ああするしかなかったんだろ?」

「うん…私お父様には逆らえない」

「…… ……。」

「好き…ずっとずっと…好きだったよ…夏目は?夏目は私の事…好き?」

「…!」

「あの時離れて…夏目のこと本当に好きだなぁって思った!!後悔してもしきれなくて…ただ涙出るばっかりで…!」

そこで俺はぎゅぅっと凛を抱きしめた。

「俺は…好きでもない女のためにこんなとこまで来ない!!凛がいたからっ…だからここまで来れた!」

「……!っ…りがと…ぁりがと…」

そこで初めてキスを交わした。

俺はその日の、ピンクとオレンジが混ざったような空の色を忘れない。
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