しわくちゃになったら、会いに行きます。


 その仕草がお兄ちゃんに似ていて、余計可笑しかった。




 「その、ごめん」




 「ううん、嬉しいし、彰太くん、面白い」




 着いたよ、と正門を見やる。


 つられて見上げた桜の巨木は数日前よりいくらか散っているようで、新緑の葉っぱが顔を見せている。


 よかった、まだ閉まってない。


 これで遅刻は免れる。


 安心して、あたしはお礼を言おうと彰太くんに向き直った。


 そして、はた、と動きを止める。


< 102 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop