しわくちゃになったら、会いに行きます。


 歯向かったあたしに、莢子は呆れたように頬杖をついた。


 きっと胸中でそうですねー、と棒読みしてるんだろうな。


 普段からモテ期のアンタには、よく分からんでしょーな、莢子さん。




 「……それにしても、良かったじゃない。恋が叶って」




 あたしは一限目の教科書を取り出しながらうん、と頷いた。


 お兄ちゃんにもすでに報告済み。


 手放しで喜んでくれた。


 まだ直接会わせていないけど、近付けるといいな。


 一限目は国語――もとい古文。


 銀縁メガネの怖そうな先生が教室へ入ってくる。


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